事件事故後の心のケア ( JR尼崎列車脱線事故後の心のケア )
what's new! 2005.5.14
5.15 心のケア批判に答えて
5.29悲しみに向き合い・悲しみを和らげ・
悲しみが愛にかわる詩・歌・物語
2005年4月25日に発生したJR尼崎脱線事故でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げると共にご遺族の皆様方、同じ列車に乗り合わせて事故に遭遇された皆様方ならびに、列車が激突したマンションにお住まいの皆様方、事故現場周辺の皆様方に、心よりお見舞い申し上げます。
このHPでは、さまざまな心とからだの反応と望ましい対処についてお話しします。
兵庫教育大学大学院・教授・臨床心理士・冨永良喜
(電子メールでのご相談は hotanshin@hotmail.com)
突然大切な人を亡くした方を見守っておられる方へ
(親やきょうだいを亡くされた子どもさんのクラスの先生、会社の同僚の方、地域のお友だち)
突然、最愛の家族を亡くされた方は、
□ その現実を受け入れることができません。
□ 頭ではわかっても、心では受け入れることができません。
□ 悲しいはずなのに、涙もでない、ということがあります。
それは、心をマヒさせて、その現実を拒んでいるためです。
□ 少し時が立ち、いつもの場所に、居るべき人がいない、という現実にふれて、
涙がとめどもなく流れることがあります。
□ 涙を流すことは、なくなった人を心の中に、生かす営みです。
マヒした心を涙がとかしていきます。
涙を流すことはとても大切なことです。
□気持が沈む,気力がわかない,やる気がでないといった心の反応が起きることがあります。
よく、報道で、PTSD(外傷後ストレス障害)が話題になりますが、それは「戦慄恐怖」に対応するものです。
最愛の家族を亡くされた方にとっては、「喪失」が、心の中心を占めるのです。
いま、居るべき人がいない現実が、苦痛を与えます。
もちろん、最悪の場面が頭に浮かんで離れないといった「恐怖」の体験も含まれていますので、PTSDは含まれるのですが。その障害概念だけでは、とらえられないのが、「喪失」です。
喪失の渦中に居る人に、どのようにかかわったらいいのでしょう。
□ 「悼む・祈る・弔う」ことと「日常生活」の2つを大切にしましょう。
大切な人を亡くした家族や級友や同僚は、日々の生活の営みがあります。
日常の生活に戻ることは、ご自分を大切にするためにも、必要です。
しかし、あまりに日常生活の回復ばかりを強調すると、このつらく悲しい出来事を心から閉め出すことになりかねません。それは、大切な人を亡くした家族にとって、また、生活を共にしてきた級友・同僚にとっても、心を無理することになってしまいます。知らずに、「泣かないで、頑張らなければならない」といった誤ったメッセージを送ってしまうことになります。
日常生活の中に、「悼む・祈る・弔う」という体験を織り込みましょう。
月命日や慰霊の行事に、心をこめて、メッセージを送りましょう。
涙がかれるまで、泣いていいんだよ。そして、亡くなった人と、お話ししましょう。
亡くなった人とお話しすることは、心の中に、その人を生かすことです。
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「お兄ちゃん先生へ」後輩が手紙(神戸新聞,2005.5.10)
「・・・その後、三田学園に進学し「お兄ちゃん先生」として指導をしてくれました。まとわりつく僕をとてもかわいがってくれました。先輩の姿を見て僕も三田学園に進学し、一歩でも近づくことを目標にしてきました。・・・」
亡くなった大学生を慕う一人の中学生の心情が綴られています。そして、記事を読む私も涙が流れます。
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残された人が、思い出の詰まったアルバムを悲しすぎて見ることができない心境になることもあります。
亡くなった人のことを語ってはいけないという雰囲気が家庭に漂うと、亡くなった人へのさまざまな思いを人に開くことなく、過ごしていくことになります。しかし、悲しみのエネルギーは閉じこめられた心の中で、大きくうごめき、身体にあらわれたり、気づかない行動にあらわれたりすることがあります。
時間はかかりますが、『こんなとき、○○さんだったら、なんて言うだろうか、どんなことをするだろうか』と自分の心の中に、亡くなった人を生かす心の作業は、心を穏やかな気持にさせます。
親御さんが亡くなられ、子どもさんが小さいとき、生きていた時のがんばっていた証を語りつないで下さい。
身近な先生や友だちが、月命日などにお参りすることも大切です。
□ 「学校(会社)ではがんばっていて心配ない」と思うかもしれません。
でも、悲しみがあふれてこないように、がんばっているのかもしれません。
がんばることは良いことです。そのがんばりを応援することは大切です。
でも、身体が無理しすぎていないかも見守りましょう。
□ ある高校生を交通犯罪で亡くされた親御さんがいわれていました。
「がんばってって励まさないで、いつも黙ってそばで応援してくれた人が一番でした」
「クラスメイトからの手紙のアルバムはいつも心の支えでした」
※犯罪被害や大震災で身近な人を亡くした人が、傷ついた言葉や行動
がんばってね
元気そうでよかった
きょうだいがいてよかったね(子どもさんを亡くした人へ)
お母さんが一番つらいよね(お父さんが亡くなって、子どもに向けた言葉)
いつまでも泣いていると○○ちゃんが(天国で)悲しむよ
悲しいときは楽しいTVをみたらいいのよ
無理に話させないで下さい
親御さんや家族を亡くした子どもさんに教師はどのようにかかわればよいでしょう。
□その出来事の中で、子どもさんはどのようにふるまっていたか思い出して下さい。
□いまの学校生活をどのように過ごしているか、気に留めてください。
・遅刻をしたときに、まず考えることは、「眠れているかな?」ということです。
・友だち関係はどうでしょうか?
・授業中にぼーっとしていることはないでしょうか?
・給食はどれくらい食べれることができていますか?
・保健室の利用はどうですか?
温かいお茶を飲む、身体を休める、お医者さんにみてもらう
とてもつらく悲しい出来事はあったのですから、心身の変化が起きて当然と考えてください。
少し時が立ってから、そういった反応があらわれることがよくあります。
そして、その心身の変化がやわらぐ方法をいっしょに考える、探すことが大切です。
□ 学校だけ、家庭だけ、という一面でとらえないで、子どもの24時間の生活に気を配ってあげてください。
□この出来事をとおして、どのような考えを持つかが今後の人生に大きな影響を及ぼします。
その考えには、否定的な考えと建設的な考えの2つがあります。
否定的な考え・・・「人は信じられない」「どんなにがんばっても意味がない」
「自分はひとりぼっちだ」「自分が悪いからこんなことが起こった」
・自分に送るメッセージが、前向きな(建設的な)ことに、つながるような考え方になるようにしましょう。
建設的な考え・・・命にかかわる仕事につきたい、遺志をつぎたい
教師はどのようなことをしておくといいでしょうか。
□学校生活記録を残す
受けたダメージを代弁するためにも、子どもの学校生活記録をきちんとつけておくといいでしょう。
保健室でのようす、家庭訪問のときのようす、授業や対人関係のようすなど、今後起こりうる訴訟問題で、被害者の代弁になります
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ご遺族の方への支援のキーワードは、
闘い・きずな・安らぎ です。
これからはじまる裁判での闘い、自分の中で起こるさまざまな心身反応に対する闘いです。
月日が悲しみを癒すというのは、遺族の方には、必ずしも、あてはまらないようです。
時が経てば経つほど悲しみが深くなると、よく言われます。
○生活支援
ご遺族の方は、日常の生活をすることがむつかしい状況になります。
眠れない、食事がとれない、買い物に行けない。
マスメディアの昼夜の取材もあるかもしれません。
マスメディアに声をあげたい方もあれば、いまはそっとしておいてほしい方も、おありです。
ですから、生活支援がまず、第一です。生活支援こそが、なによりの心理的支援なのです。
カウンセリング=心理的支援 ではないのです。
○カウンセリング
ただ、カウンセリングも、ご遺族が求められる場合は、支援になります。
私は、その方が、いま、苦しんでおられるさまざまな反応(眠れない、肩がこる、人と話す気にならないなど)が 少しでも和らぐような手だてを一緒に考えることからはじめます。
こんなつらいことがあった後は、「誰にも話せない」ことが、たくさんでてきます。
安心な場で、それを話すということは、抱えている問題を、自分の身体から外に出して、対象化して(離れて)見る機会ができます。
カウンセリングは、弱い人が受けるもの、というイメージは、まだ、社会にあるでしょうか。
カウンセリングは、辛いこと・抱えていることに向き合い、気持ちを切り換える場でもあります。
○遺族の会
そしてなにより、力になるのは、遺族の会です。
同じ苦しみを体験している人とのきずなが一番の力になります。
遺族の会の集いは、おおきな支えなのです。
npo法人ひょうご被害者支援センターが支援している犯罪被害者遺族の会「六甲友の会」のメンバーがまとめた会の意義です。
▽ 情報交換の場
▽ 痛みを乗り越えながら、このつらい体験を通過することができる場
▽ 自分を取り戻す場
▽ 考えや気持ちをオープンに語れる場
▽ 自分の学んだ事を他の人に返す場
npo法人 ひょうご被害者支援センター
電話 078−367−7833 火・土(10時〜16時)
弁護士による法律相談、臨床心理士による面接相談もしています。
ひょうご被害者支援センターは、犯罪遺族の方が役員として参画しています。
弁護士、医師、臨床心理士、税理士が役員になっています。
電車に乗っていて大変怖い思いをした方へ
重傷を負って入院生活をされている方の回復を応援しています。
退院をされて日常生活に復帰している方は、あの惨状をふと思い出されてつらくなっているかもしれません。
実際に電車に乗っていなくても、普段その電車を利用する、TVで悲惨な映像をみるなども衝撃を与えます。
つらい、悲しい、恐いことを経験すると、心だけでなく、からだや行動にも変化がでることがあります。心の変化は、恐いといったことだけでなく、自分の気持ちが感じられない、心が冷たくなって、本当のことと思えないということもあります。また、反対に、気持ちが高ぶったりすることもあります。
心と身体がいつもとちがうようになることがあります。
それは だれにでも起こる「こころと身体」の変化です。
心も身体もフル回転して、この大変な出来事を乗りこえようとがんばっているのです。
人は、傷ついた自分を自身でケアする力をもっています(セルフケア)。
セルフケアの力を最大限引き出すのが、心のケアです。
こころと身体の変化 そんな時はこんなことをするといいですよ
(ストレス反応) (ストレス反応へのセルフケア行動)
(過覚醒)
□仕事(勉強)に集中できない ← こころが落ち着くことをします
□イライラする
□ちょっとしたことにびっくりする ←
深呼吸をする、肩のリラックス法
□ねつかれない 静かに本を読む、落ち着く音楽をきくなど
□はしゃいでしまう
(侵入)
□あの場面を突然思い出す ←
信頼できる人に
□こわい夢や悪い夢をみる 話をきいてもらうと気もちがらくに
□あのことが頭からはなれない なることがあります
□小さい子どもさんの場合、事故遊びをする ←
気持を表現している機会です、いっしょに
遊ぶか見守りましょう。ただ危険な遊びは
落ち着いてとめてお話しを聴きましょう
(回避・マヒ)
□思い出すようなことをさける
□その場所をさける
←
少しずつチャレンジすればいいです
□電車にのれない
□よく思い出せない
□ぼっーとしてしまう
←
趣味・料理・からだを動かすなど
□心がしんどい
(アルコールやTVゲームのやりすぎはよくないです)
(退行)
□ひとりでねむれない ← だれかといると安心の気もちがふくらみます
□ひとりでトイレに行けない
□ひとりになるのがこわい 安心できるとまたひとりでできるようになります
(身体反応)
□頭がおもたい ← からだを休めるといいでしょう
□お腹のちょうしがよくない お医者さんにみてもらいましょう
□からだがしんどい マッサージや肩のリラックス法もいいでしょう
(喪失反応)
□悲しみがこみあげる
←
お祈りする(涙を流すことはとても大切です)
(否定的思考)
□こんなことがあるんだったら
←
こんなたいへんなことがあったら、
がんばってもいっしょ
マイナスの考えをしてしまうものです
□ひとが信じられない
でも、つらいことからプラスの考えに変えることが
□ひとりぼっちになった
できます。
□また悪いことがおこると思う
□自分が生き残って申し訳ない
建設的・肯定的な考えに変えていけるようにします
□自分が悪かったからこんなことに・・
「あなたの友だちが被害にあったとしたら、
あなたはなんと声をかけてあげますか?」
「今のあなたは、その時のあなたに、なんと声をかけてあげますか?」
セルフケアにとって必要なことは
安心・きずな・表現 です。
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JR脱線 負傷者の闘い(神戸新聞、2005.5.12)
看護師を志しているある大学生が、3両目に乗車、大けがをし入院した。事故直後、母親に、「もう看護師になる自信はない」、「けが人に接するのが怖い」と泣きながら訴えた。母親は、大学のカウンセラーに相談。「事故のことを繰り返し話しても、じっくり聞いてあげる」という助言を努めて守った。 事故から一週間が過ぎたころ、友人たちの励ましもあり、徐々に夢が戻ってきた。「あの看護師さんのように病室を明るくできれば」「手すりの便利さも分かったわ」。前向きな気持ちが家族との会話に表れてきた。
この記事には、命にかかわる危機を体験した人が、家族や友だち・大学のカウンセラーの応援で、自らの回復力に身をゆだね、否定的な思考から脱却していく姿が見事に記述されています。
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しかし、
ショックが非常に強いものであったり(例えば、大きなケガをした、なかなか救出されなかったなど)、 過去にショックなことを経験していたり(以前に交通事故にあったなど)するとストレス反応が強くあらわれたり、ながく続いたりすることがあります。
心と身体の変化がながく続いたり、強いものであったら、専門機関に相談してください。
適切なカウンセリング(心理療法)と医療により回復することがわかっています。
では、どのような心理療法があるか紹介しましょう。
トラウマという言葉は、命にかかわる出来事に遭遇したときに引き起こる心身の反応を意味します。
トラウマは日常のケンカや失敗などのストレスとは、その記憶のあり方が異なることがわかっています。
トラウマの記憶は、2つの特徴をもっています。
トラウマ性記憶の2つの特徴
凍りついた記憶
マヒ(感覚マヒ・感情マヒ)と侵入(フラッシュバックや悪夢)
身体ごとの記憶(身体性記憶)
嗅覚・触覚・視覚・聴覚などの五感を伴った記憶
恐かった場面が頭から離れず、その時の身体感覚を伴って、涙が流れ、まるで、いま、現実に起きているような
苦痛をともなうとき、「語る・抱きしめてもらう・眠る・栄養をとる・ねぎらってもらう」という活動が必要です。「安心な場で、こわかったことを語るのです」。しかし、無理に語らせてはいけません。
次に、少したつと、その記憶を切り離して、生活をはじめます。
ずっと恐かった記憶があふれ出ていくと、心がもたないので、その記憶を切り離して、対処しようとする心のメカ ニズムが働きます。
その記憶を心の奥底に沈めて、生活をはじめるのです。
しかし、その記憶は、決して忘れることのできない記憶です。
それは、凍りついた記憶と呼ばれています。
凍りついた記憶は「いつも冷たいがいつも新鮮」なのです。
ふだんは、仕事・勉強などをがんばって、その記憶が意識に上らないようにします。
しかし、ちょっとしたきっかけで、その時のことを突然思 いだし、その時のことがありありと思い浮かんで苦しくなります。
それをフラッシュバックといいます。そのフラッシュバックが夢の中で起きるのが悪夢です。
フラッシュバックや悪夢を「侵入」といいます。心の中にいきなり飛び込んで、侵入してくるという意味です。
悪夢を見てうなされても、そのことを次の朝には覚えていないことが多くあります。
それは、凍りついた記憶が夜中に溶けて、朝にはまた凍りついているというふうに考えてもらったらわかりやす いでしょう。
思い出したくないのに思い出すといったコントロール感のないことがこの記憶の特徴なんです。
トラウマの心理療法では、この凍りついた記憶を、ふつうの記憶に変えていくことを目標にします。
その出来事を忘れることではなく、思い出しても、落ち着いて、そのことを受けとめることができるような心理状態を目標にするのです。
専門的な名前になりますが、反応や症状へのストレス対処法(認知行動療法)、動作療法、EMDR、エクスポージャー(認知行動療法)などが、トラウマの心理療法としてあります。
ストレス対処法とは、いまのストレス反応に対して、望ましい対処法を実行します。例えば、「電車に乗れない」という反応があれば、まずは「電車は安全感か!」という問いかけをします。安全でないものに不安を抱くのは正当な反応です。安全だと思っていたのに、この事故は、その信頼を裏切ったのですから、電車が恐くなって当然です。むしろ、恐くなることは、自分の身を守る心の動きと理解した方が自然です。しかし、「新型ATSを装備した。安全対策を講じた。だから大丈夫だと頭では理解できる。だが、恐くて乗れない」という時に、ストレス対処法を練習します。まず、イメージの中で、電車に乗る練習をします。その時に、呼吸が速くなったり、ドキドキしたりと身体反応が生じます。それで、それに対処する呼吸法や筋弛緩法などを予め練習しておきます。すなわち、今起きている反応や症状に対処する力を育む心理療法です。
動作療法とは、立つ、動かす、弛めるといった動作を通して、心に働きかける心理療法です。人の動作や姿勢には、その人の生き方やがんばり方があらわれていると考えます。トラウマ体験は、そのことを思い出させることに出会うと、思わず身体を緊張させ戦闘態勢をとらせてしまいます。そこで、過剰な身構えを自分でモニターして、その身構えをコントロールする練習をします。一人でできないときは、少し手伝ってもらいます。身体の緊張感をコントロールすることで、心をコントロールするのです。
ストレス対処法も動作療法も、トラウマ記憶に直接アクセスしないで、回復を促進する心理療法です。
それに対して、トラウマ記憶にアクセスする方法が、エクスポージャーやEMDRです。
カウンセリングは、セルフケアの力を最大限引き出すかかわりですから、○○療法といわなくても、回復につながるかかわりが含まれています。
2005.5.11
台風23号災害・新潟中越地震災害による子どもの心のケアについての
サイト「災害後の子どもの心のケア」もご覧下さい。2004.11.17
相談機関
兵庫県こころのケアセンター精神保健福祉センター(PTSDの専門機関です。)
開設日 火〜土 9:00〜17:00
電話 078-200-3010(代表)
兵庫教育大学・発達心理臨床研究センター
0795−44−2285
(予約) 10時〜12時・13時〜14時30分・15時30分〜16時30分
兵庫教育大学は三田・西宮北から自家用車なら40分程度で来ることができます。
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悲しみに向き合い・悲しみを和らげ・悲しみが愛にかわる詩・歌・物語(2005.5.29)
Pat Palmer(1998) A guide to grief and loss. パット・パルマー1998 泣こう 径書房
「泣きたくても泣けないときがある。
大きな悲しみにであうと、ショックでぼんやりしてしまったり、それが本当のこととは思えなかったりするから。
そんなときは誰でも、自分がどんな気持ちでいるか、わからなくなってしまう。それは自然なこと。
だけど、悲しくない、なんてふりはしないでね。そんなことをしても、あなたの心は癒されない。
20pより」
心理学者・パットパルマーの「泣こう」「怒ろう」「楽しもう」の3部作のひとつ。
心理教育のメッセージが、やさしい言葉で記されています。
オグ・マンディーノ(2001) 十二番目の天使 求龍堂
地位も名誉もあるジョンが、ある日愛する妻と一人息子を事故で失う。生きる気力を無くしたときに、昔の友人が尋ねてくる。少年野球の監督を依頼される。その少年野球の12番目の少年との出会いが、彼に、生きる勇気を蘇らせる。
一気に読み終えました。涙がとまりませんでした。そして、涙の底から、勇気がわき出てきました。
千の風になって 新井満 CD『千の風になって』(ポニーキャニオン)
「 千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています 」
突然、愛する人を亡くした人とお話していると、「愛する人は、生きている」という実感を
語ります。
涙そうそう 夏川りみ 作詞 森山良子 作曲 BIGIN 2001
若くして他界した兄を思って、森山良子さんが書いた詩。
仙台育英高校で飲酒犯罪により命を奪われた3名の「お別れ会」(5月31日)で全員が合唱 した。(毎日新聞より)
古いアルバムめくり ありがとうってつぶやいた
いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ
晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔
想い出遠くあせても
おもかげ探して よみがえる日は 涙(ナダ)そうそう
一番星に祈る それが私のくせになり
夕暮れに見上げる空 心いっぱいあなた探す
悲しみにも 喜びにも 想うあの笑顔
あなたの場所から私が
見えたら きっといつか 会えると信じ 生きてゆく
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心のケア批判に答えて(2005.5.15)
災害・事件・事故があると、「心のケアに専門家派遣」といった記事がでます。これに対して、「心のケアは専門家ではなく、身近な人がすればいいこと、専門家がするものではない」という批判を、ブログなどでよく読みます。しかも、心理学や教育学の一部の専門家がこういった批判をしているようです。この批判の中で、「心のケアは身近な人がする」というのは、その通りです。しかし、専門家はいらない、というのは違うのです。
今回の事故の「JR脱線 負傷者の闘い(神戸新聞、2005.5.12)」に掲載されていることが、この批判へのひとつの回答といえます。家族や友人こそが、当事者の支えになれるのです。ただ、このような出来事は、人生の中で稀にしかありません。そのため、日頃のストレス反応とは異なるあらわれ方をすることがあり、どのようにかかわっていいのか、身近な人もとまどうことがあるのです。大学のカウンセラーは、記事にあるように、適切な助言をしたのだと思います。
私たちが提供することは、まず第一に「心理教育」です。「こんな出来事があったら、こんな反応を起こしやすい、その時は、こう対処することが望ましいと過去のデータから推測できる」といった科学的知見の提供です。これは、このような出来事に遭遇してきた方々と出会ってきた私たちの責務だと思っています。
「心のケア」の本質は、「傷ついた自分を自分がケアすること」なんです。そして、自分自身が自分をケアするセルフケアの力を最大限引き出すことをサポートすることが、まわりの人がする心のケアなんです。心のケアというと、「お話しをお聞きします」という活動そのものだと思うかもしれません。もちろん、それは、まわりのひとのサポートの一つです。しかし、いまは、ひとりで考えたい、その方が自分自身を回復できるときに、つかつかと、「お話しをお聞きしましょうか」というのは、お節介そのものなんです。また、「話しを聞く」といっても、「うんうん」とうなずいているだけではないのです。さきほどの例のように、先人の知恵を伝えることも、必要です。
また、落ち着くためのさまざまなセルフケア技法を提供することも心のケアの一つです。ほかにも、自助グループでのサポートもあります。犯罪遺族の会に参加して3年半になりますが、私は司法制度の不備などを学ぶことがあっても、その場で助言などをしたことはありません。その場に居るだけです。でも、そういったかかわりが、結果として、サポートになっているようなんです「この思い伝えたい・犯罪遺族の手記(毎日新聞)」。
心のケアにあたるまわりの人とは、家族・友人・地域のおじさんおばさんや子どもそして、教師や臨床心理士・精神科医・・そしてマスメディア・・すべての人です。みんなが力を合わせて、この悲しい出来事に立ち向かうことだと思います。だから、メディアの方にお願いしたいのは、ある一部の人を批判することで、注目を集めようとする記事ではなく、みんなの協働作業(コラボレーション)をすすめる視点で取材をしてほしいのです。