“考えること”について考えてみよう
   (
暫定版です

 間違うということ,わかるということ,わからないということ ―


◆第1部 メタ認知

例題1
健太くんは夏休みのキャンプにバスで行きます。そのバスには全部で9人の人が乗っています。バスは時速40キロで走ります。出発点の学校からサマーキャンプの場所まで, 3時間かかります。キャンプの場所は学校からどれだけ離れているでしょうか?

※この例題は,ブランスフォードらの研究で用いられた算数の文章題(今井・野島2003を参照)を基にして,話者が作成しました。

     高校生にとっては簡単な問題だが,小学生たちはしばしば不思議な間違い方をする(たぶん,数年前の皆さんも?)。
     たとえば9人という無関係な数字を無理にはめ込んだ式を立てるなど。

  ・・・・もっとも,「不思議」というのはあくまで「わかっている人」から見ての話し。

  この例が語るものは?

  1. 間違えてはじめて,自分が本当はよくわかっていなかったことがわかる。(先の2段階目)
    →改めて学び直すことで,より良い理解に達することができる。
     上の例のように無関係な情報を含まない,通常の「準備された」「よくできた」問題では,
     子どもたちは「理解していなくても解ける」場合がある!

  2. さらに一歩進んで,それでは,そもそもなぜ子どもたちは(私たちは)こんな間違いをしがち
    なのかという原因を検討することによって,
    背後にある,普段はほどんど意識されることがない「暗黙の学習観」がかいま見えることもある。
    (先の3段階目)

     学習観 …学習(勉強)というもの,あるいは学習方法について,漠然と抱いているイメージ
            必ずしもきちんと言葉にして考えているわけではないが,何となくそう思っていること。
     たとえば
     

     → 「わかったつもり,わかっているつもり」からの脱却という点に焦点を当てて,
        今度は日常的な例を考えてみよう

◆第2部 より良い理解に達するために

   小学校5年生の社会科のある教科書をもとにした次の文章を読んでみてください。

日本各地で,梅雨の様子は,どのようになっているのでしょうか。
 沖縄県では5月から,関東地方では6月から梅雨の季節に入ります。約1ヶ月の間,毎日のように雨の降る日が続きます。北海道では,梅雨はほとんど見られません。

※この文章は,西林克彦著 『「わかる」のしくみ―「わかったつもり」からの脱出』 1997 新曜社, p18 から引用させていただきました

   「この文章を理解できますか?」と問われたら? ・・・たぶん多くの人は「はい」と答えるでしょう。

  それでは,次のように問われたら?

  1. 沖縄では5月から,関東では6月からのように,なぜ,場所によって,梅雨に入る時期が違うのですか?
  2. 北海道で,梅雨があまり見られないのはなぜですか?

  自分が本当にその文章を理解していたと言えるのか,「わかっていた」と言えるのか

   ……あやしくなってこないだろうか? 

  ここで,上記の問いa,bへの答えを含む説明文を読んでもらう。(省略)

  ……今回はこちらから「説明文」(1つの答案)を与えたましたが,調べようと思えば,もちろん高校生の皆さんなら
     本やネットなどを利用して調べることはできるでしょう。あるいは,気象や地理に関する既存の知識を基に
     自分で考えることもできたかもしれません。

    この例が語るものは?

  1. 私たちは何か疑問に思うこと(「なぜ助けなかったのか」)があったとしても,答え(らしきもの)
    (「冷淡な性格だから」)を見つけると,思考を停止してしまいやすい。

  2. 思考を止めないで考え続けることが,人間の行動についてのより良い理解(多面的or重層的な理解)をもたらす。

◆まとめと指針


*参考・推薦図書 

今日の話は下記の図書を参考にして構成しました。
どれも読みやすくてためになる本なので,推薦します。