“「問い」を立てる姿勢とスキル” (暫定版)


◆「総合的な学習の時間」で,調べ学習をしようとしているわけだが…

「調べること」自体は,それほど難しいことではない


◆問いを立てるスキルとは?

 問いを立てる=疑問をもつ=考える
 スキル= 方法,コツ


◆具体例1 大学生たちの調べ学習(小グループでの)

 テーマ:学級(クラス)について

 素朴な疑問:「なぜ学校というところは,学級(クラス・教室)を作るのか?」

  良い疑問なのだが,「なぜ?」という説明を問う問いに直接答えるのは難しい。
  →どこから手をつければよいだろうか?


◆問題練習

*練習問題ではなく,問題練習
  問題を作る練習。問いに対して答えを出すのではなく,
問いそのものを作る試み。

 先ほど「なぜ?」の問いが重要と言ったが,ただ漠然と「なぜ?」と問えばよいと
 いうわけではない。  
→ どういう問いがよい問いなのだろうか?
  その問いを受けて,「何を調べればよいか?」=どうなってるの? 
  という問いが具体的に浮かんでくるような問い ・・・ 問う―調べる はセット

 問題練習用 例題

ある日本人が,仕事で,ある国(A国)のある町に出張しました。その時,バスも列車もよく遅れるので,予定が遅れて困ってしまうし,イライラするしでたいへんだったそうです。この人は「この国では なぜ こんなにバスも列車もよく遅れるのだろうか?」という“素朴な疑問”をいだきました。

※この例題は,日垣隆(2002)『情報の「目利き」になる!』 ちくま新書 を基にして作成しました。

  当然ですが,この問題練習の「正解」はありません(比較的,よい問い,あるいは興味深い問い
     示すことは可能ですし,講演の中では実際にいくつかの例を示しました)。


◆【具体例2 「そうか,わかった!」の悦び : 沖縄と昆布の関係について】

*出発点:素朴な疑問 「沖縄の人々の暮らしが知りたい!」

*「沖縄はどのようなところで(気候や風土など),人々の暮らし(食べ物や生活の様子)は
 どのようなものなのか?」 (→ 実態を問うてみる)
              ↓
*たとえば,沖縄の食べ物を調べてみる。すると,「沖縄は昆布の消費量が全国でも
 1位,2位を争うほどである」という事実を知る。
              ↓
*「なぜ,沖縄は昆布の消費量が多いのか?」(→ 「なぜ」を問うてみる)
              ↓
*「沖縄は海に囲まれた島なので,きっと海藻が豊富に採れるからだろう。」
 (→ まずは自分で考えてみると,常識的には,こんなふうな考えが思い浮かぶかも
     しれない。しかし,ここで納得して,思考を止めてしまわない。)
              ↓
*もう一歩踏み込んで,今度は昆布について調べてみる。すると,「
昆布は寒い海に育つ
 もので,北海道近辺でしか採れない
」という新たな事実を知る。
              ↓
*この新事実(知識)を関連づけることで,「なぜ,北海道近辺でしかとれない昆布が,
 南国の沖縄で,それほど多く消費されるのか?」という興味深い問いがうまれる。

 この際,調べやすくするために,問いをもう少し
具体的な疑問に変形してみることもできる。
 たとえば,

              ↓
*調べてみよう!
 
 時は江戸時代にさかのぼり,北海道(蝦夷),沖縄(琉球)だけでなく,富山藩(「富山の
 薬売り」)と薩摩藩と中国もかかわる壮大なドラマがあるのだが,・・・。
   
 ※ この問いに対する(1つの)答えは,清水義範・西原理恵子 『どうころんでも社会科』 講談社文庫
       に詳しく書かれています。

   

              ↓
*江戸時代の日本と中国における地理・歴史・経済の問題が,“現在沖縄で昆布の消費量
  が多い”ことにかかわっている,ということがわかってくる。

一見すると,それぞれ何のつながりもないように見える事実(知識)が大きな構図の中で1つにつながっていった。こうしたつながりの発見が,私たちに知的興奮をもたらす
そして,自分なりに何かを発見した時には,きっと
それを誰かに話したくなるはず。
発見といっても,まったく誰も知らなかったことでなくてもよい。既に誰かが研究して,発表したことだとしても,自分にとっての発見になったのならば,それでよい。

※この「人に話したくなる感覚」を持てたかどうかが,「総合的な学習の時間」が実りある時間だったかどうか,
  つまり,成功したか否かを判断する基準の1つだと私たちは考えています。