総合的な学習のための “「問い」を立てる姿勢とスキル”


◆はじめに

問いを立てるということは? 今日の話しのポイント


◆【 「なぜ?」  「実際どうなの?」 の往復で問いを続ける 】

疑問と調べの流れ −−基本的枠組み

出発点として,素朴な疑問や直感的な印象がある。
              
「どうなっているのか?(How?)」と事実を調べる

              
「なぜなのか?(Why?)」と考えてみる。

               
その可能性を受けて再度「どうなっているのか?」と事実を調べる。
               
調べて得られた結果に納得がいく(腑に落ちる)こともあるだろう。
 もちろん,調べて得られた結果に納得がいかない場合もあるだろう。
  →いったん腑に落ちて納得しても,それでも思考を止めずに,別の可能性を考えて
   みることも重要。
             
その説明に対して,また新たな「なぜ?」「どうなっているのか?」を考える。


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【具体例1 : 少年の凶悪犯罪について】

※ 具体例1の内容については,当日は各種統計データや新聞の切り抜きなどの資料を基に話をしましたが,ここではその大まかな流れのみを示し,詳しい内容は省略します。なお,私たちはここで,特定の犯罪について話をすることが目的ではなく,また,少年の凶悪犯罪を軽視しているわけでもありません。“問いを立てる”プロセスを説明する際の題材として,「日本では近年、少年の凶悪犯罪が増加しているのか」という問題を例として用いた旨,記しておきます。

素朴な疑問
 最近,少年による凶悪犯罪が増えているような気がするのだけど,困ったことだ。
 なぜ,現代の日本は,そして子ども達はこんなことになってしまったのだろう?

 こうした疑問に対し,我々はすぐに「答え」を求めようとする。それに対して,マスコミは
 次のような
型にはまった(ステレオタイプの)答えを用意している。

             
ところで,ここでは少年の凶悪犯罪が増えているということを「当たり前(常識)」として
 「なぜ?」と問うているのだが,実際のところどうなのだろうか?
             
調べてみる (この時,少なくとも
支持・不支持,双方の意見がないかを調べてみる
  ことが大事)

これだけ知っただけでも,少年の凶悪犯罪の見え方に幅が出てくることがわかるだろう。
新聞やテレビや本に出ている「事実」,教科書に載っている
「事実」が常に正しいとは限らない。「事実」が載っている資料を探し出して「知る」ことができれば,その時点で,問題が「わかった」,「解決した」ことになるのではない。

            
調べたいくつかの「事実」について,「なぜ?」の疑問が出てくる
            
その「なぜ」に対して,いろいろな説明の可能性を考える。

  その際

  などの工夫をしてみる。

            
出てきた可能性それぞれについて,「実際,どうなのか?」という実態を調べてみる。
            
調べた結果についてまた新たな「なぜ?」が生じる。
            
その「なぜ?」に対する「可能性」をまた考える。
            
           ………繰り返し

こうして調べていくと,「わかってきたこと」がだんだん複雑になり,錯綜していく場合もあるだろう。どれか1つの立場に決める必要がなければ,わからない段階で無理に「答え」を出す必要はない。それぞれの立場についての利点・不利点を踏まえた上で「保留とする」としてもかまわない。
それでも,その時点での自分の見解を示さなければならない時には,(間違っているかもしれないが)今考えられる限りの事実から判断をした「
1つの答え」として,条件や程度付きで,自分の考えを出せばよい。



◆【具体例2 「そうか,わかった」の悦び : 沖縄と昆布の関係について】

出発点:素朴な疑問 「沖縄の人々の暮らしが知りたい!」

「沖縄はどのようなところで(気候や風土など),人々の暮らし(食べ物や生活の様子)は
 どのようなものなのか?」 (→ 実態を問うてみる)
              

たとえば,沖縄の食べ物を調べてみる。すると,「沖縄は昆布の消費量が全国でも
 1位,2位を争うほどである」という事実を知る。
              
「なぜ,沖縄は昆布の消費量が多いのか?」(→ 「なぜ」を問うてみる)
              
「沖縄は海に囲まれた島なので,きっと海藻が豊富に採れるからだろう。」
 (→ まずは自分で考えてみると,常識的には,こんなふうな考えが思い浮かぶだろう。
    しかし,ここで思考を止めてしまわない。)
              
もう一歩踏み込んで,今度は昆布について調べてみる。すると,「
昆布は寒い海に育つ
 もので,北海道近辺でしか採れない
」という新たな事実を知る。
              
この新事実(知識)を関連づけることで,「なぜ,北海道近辺でしかとれない昆布が,
 南国の沖縄で,それほど多く消費されるのか?」という興味深い問いがうまれる。

 この際,調べやすくするために,問いをもう少し
具体的な疑問に変形してみることもできる。

 たとえば,

              
調べてみよう!
 
 時は江戸時代にさかのぼり,北海道(蝦夷),沖縄(琉球)だけでなく,富山藩(「富山の
 薬売り」)と薩摩藩と中国もかかわる壮大なドラマがあるのだが,・・・。
    ※ この問いに対する(
1つの)答えは,次の図書に詳しく書かれている。
      『どうころんでも社会科』 清水義範・西原理恵子 講談社文庫
              
江戸時代の日本と中国における地理・歴史・経済の問題が,“現在沖縄で昆布の消費量
  が多い”ことにかかわっている,ということがわかってくる。

一見すると,それぞれ何のつながりもないように見える事実(知識)が大きな構図の中で1つにつながっていった。こうしたつながりの発見が,私たちに知的興奮をもたらす。
そして,自分なりに何かを発見した時には,きっとそれを誰かに話したくなるはず。



◆まとめ

【問いを立てるためには】

【問いを立てる姿勢にかかわること】


◆参考・推薦図書

今日の話は,次のような図書を参考にして構成しました。

【「問い」を立てる姿勢とスキルについて参考になる図書】

【少年の凶悪犯罪に関して参考にした図書】

【沖縄と昆布の関係について参考にした図書】