井上 雅彦
■所属
兵庫教育大学大学院 臨床・健康教育学系 助教授
兼任 発達心理臨床研究センター 発達障害臨床部門
■専門分野
応用行動分析学 障害児心理学
■資格
臨床心理士
専門行動療法士
学校心理士
臨床発達心理士
■学会活動・社会活動など
主な所属学会
日本発達障害学会 評議員
日本行動分析学会 常任理事・編集委員
日本特殊教育学会 幹事
日本行動療法学会 幹事・編集委員
日本心理臨床学会
日本小児精神神経学会
日本小児神経学会
日本発達心理学会
日本教育心理学会
日本LD学会
The Association for Behavior Analysis International
主な社会活動
兵庫県発達障害者支援センター運営委員
兵庫県こどもセンタースーパーバイザー
兵庫県教育委員会障害児教育あり方検討委員会委員
■最近の研究テーマ
発達障害のある人々の余暇支援
自閉症児の生涯を通じた教育・福祉支援システムの開発
自閉症児のコミュニケーション指導
自閉症児の他者理解支援プログラムの開発
(他者視点の獲得、表情理解・表情表出、文脈理解、心的言語の理解、比喩の理解)
発達障害のある子どもの集団活動参加のためのSocial Skill Training
障害児を持つきょうだいの心理適応過程と支援プログラムの開発
障害児を持つ保護者に対するペアレント・トレーニングプログラムの開発
学校コンサルテーション及び教師支援プログラムの開発
重度・重複障害を持つ人の自己決定支援プログラムの開発
問題行動の機能分析に基づく介入システムの開発
etc
■2006年度の研究室プロジェクト研究
地域の学校と連携した特別支援教育へのサポートプログラムの開発
青年期自閉症児の余暇スキル開発
高機能自閉症児の早期療育プログラム開発
ペアレント・トレーニングシステム開発(5年間の公開講座による実践の総括とWEB版の開発と運用研究)
特別支援教育教師用研修プログラム開発
きょうだい支援システム開発(地域定着へ向けての総括)
■学生のみなさん(特別支援専攻の方)へ
私は今まで自閉症の方を中心とした本人やその家族、教師の方とかかわっていく中で、障害を持つ人の人生を通してどのような時期にどのような教育や支援が必要なのか考えてきました。
応用行動分析学に基づいた教育・支援技法は、現在様々な教育や福祉の中にテクノロジーとして組み込まれてきています。私はこの応用行動分析学という学問を思考のツールとして言語や余暇スキルなど様々な研究・実践を行ってきました。
こうした中で私が今現在考えていることは、個人の喜びを実現し、伝達する手段としてのコミュニケーションの成立ということです。個人の生活の中に「楽しみ」がなければ「要求」というコミュニケーションは生まれませんし、また、それを人に伝達して共有したいという「叙述」や「報告」といったコミュニケーションも生じないでしょう。コミュニケーションの乏しい子に対してコミュニケーションの指導や支援を行う場合、「それを子どもが獲得していくことで、その子どもの生活の質がどの程度高められるのか?」という問いに常にぶつかります。
以前、私は言語指導に関する研究と余暇指導に関する研究はそれぞれ別の領域であると思っていました。しかし、最近になってその重要な関係を意識するようになりました。以前のプログラムでは子どもの好みを査定し、それに関して要求行動を教えるというような順序性・階層性がありましたが、最近では、「好きな物探し」だけではなく「好きなものづくり」を行い、そこから選択決定や要求へと発展させていこうと考えるようになりました。
私の基本的なスタンスは「子どもたちと一緒に、いかに明るく、楽しくやれるか?」ということです。教師自身がその子どもとかかわりを楽しみながら子どもをのばし、生きていけるか?、そのためにはよく言われがちな粘りや感性や体力も必要ですが、斬新なアイデアや工夫、緻密な思考、そして何より自ら子どもたちといっしょに楽しむ気持ちが必要だと思います。これからもみなさんと一緒に障害を持つ人の人生が豊かになるような明るい?臨床研究を目指していきたいと思います。
■学生のみなさん(臨床心理コースの方)へ
発達障害者支援法の施行や特別支援教育の実施に伴い、LD、AD/HD、自閉症などの発達障害のある子どもたちへの適切な理解や支援がすべてのヒューマンサービスの現場で求められています。また、不登校やいじめ非行といった行動を示す子ども、虐待を受けた子どもの中にも、発達障害をベースにに持っている子どもが存在しています。
しかしながら、現在これらの子どもたちについてのスクールカウンセラーや相談担当教師の理解や対応は十分であるといえません。障害をベースに持っている子どもたちの行動に対するアセスメントや知識が十分でない場合、子どもの本質的な理解や受容は不十分なものになり、周囲の人や親に対して間違ったアドバイスを与えることにもなってしまいます。また、これらの障害に基づく二次的な不適応状態は、幼少期からの早期対応とフォローアップ、家庭や地域との連携が適切になされていれば、かなりの部分で予防可能であると考えています。
心理臨床といえば、面接室の中のカウンセリングという伝統的なイメージがありますが、これらの子どもたちの生活全体にわたる支援を考えた場合、プレイルームや面接室の中だけの心理臨床では限界があります。本人、保護者、教師、クラスメイトとその保護者、きょうだい、地域の人々などアプローチの方向も多様性が要求されます。発達障害を持つ子どもたちの心理臨床のプロであるためには、カウンセリングの知識や技術はもちろん、発達心理学、障害児教育学、障害に対する医学的知識、地域福祉に関する知識、コンサルテーションの技術など幅広い守備範囲が必要です。
応用行動分析学(Applied Behavior Analysis:ABA)は、個人と環境の相互作用として「行動」を捉え、問題の解決を個人のみに求めるのではなく、環境とのインタラクションの中で改善しようとする応用科学です。この意味からいうと、いわゆる伝統的な「心理臨床」からはかなり逸脱しているかもしれません。私は学問的逸脱に磨きをかけ?ながら、応用行動分析学という思考ツールを用いて発達障害を一次的障害として持っている子どもに対して、どのように理解し、学校教育や社会の中でどのように教育・支援していったらよいのか?ということについてみなさんと考えていけたらと思っています。
■研究室の位置
発達心理臨床研究センター 2F 階段あがって突き当たりです。
教育相談等の関係で昼間に研究室で座ってることはまれですので事前にメールでのアポをお願いいたします。