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| 電話によるコミュニケーションは、視覚的な手がかりとして相手の行動や文脈を活用することは不可能で、相手の言葉だけを手がかりにコミュニケーションする必要があります。表1のように指導目標となるやりとりを設定した。 |
| 表1 指導目標とされる電話の取り次ぎ技能 |
| 教師 | 生徒 |
| ダイアルする | 呼び出し音が鳴ったら受話器をとる |
| 「もしもしAさんですか」 | 「はいそうです」 |
| 「○○さん(人名)いますか」 | 「おります」 |
| 「○○さんとかわってください」 | 「わかりました」 |
| 受話器をおく | |
| 指定された人を呼びに行く | |
| 「○○さん電話よ」 |
| 2.対象児
質問/応答場面で生じる即時性のエコラリアは、適切な応答を指導することによって置き換わり、出現しなくなります。質問/応答に関する簡単なやりとりは可能だが、即時性のエコラリアが強く会話としては継続しにくいタイプの子どもに対しては。いくつかのターンからなる会話が可能になること、学習した会話技能を日常生活で自発できることが望まれます。 今回、事例として取り上げる対象児は、幼児期に自閉症と診断を受け、小学校障害児学級に通う4年生の女の子です。「何?」「誰?」など簡単な質問に対しては応答できるものの、会話を続けることは困難でした。難しい質問に対しては、おうむ返しで応答することが多いという傾向がありました。また、コマーシャルソングやアニメの主人公の台詞の一部を機嫌良さそうにつぶやくことが見られました。名詞に関する理解語彙・表出語彙はともに豊富でしたが、動詞については理解語彙・表出語彙ともに少なく、自動詞と他動詞の混乱もしばしば見られました。ひらがなや2年生程度の漢字の読み書きは可能でした。 |
| 3.方法 |
| 最初の段階として表1の台詞部分だけを他者の台詞をエコラリアせずにやりとりできることを目標とします。表2のような台詞カードを作成し、ステップ1としてまず教師がそれぞれの台詞を指さししながら交代でやりとりを行うようにします。それが達成(3試行連続正答)されたら次のステップに移ります。ステップ2では教師の指さしがなくなった状態でのやりとりの成立を目標とします。ステップ3では、会話をする際に相手の言葉を手がかりとして自分の言葉を自発させるようにするため、教師は生徒が台詞を言った後、すぐに次の台詞を言わないで、一呼吸(1秒程度)置いてから台詞を言うようにします。生徒がその遅延時間に教師の台詞を言ってしまうと誤反応になります。ステップ4ではこの遅延時間を二呼吸以上にのばすようにします。生徒のエコラリアが減少していかない場合は遅延時間に「シーッというポーズ」をし続けます。そしてこのポーズも徐々になくしていくようにします。 |
| ▲▲先生(教師名) | Aさん(生徒名) |
| 「もしもしAさんですか」
「○○さん(人名)いますか」 「○○さんとかわってください」 |
「はいそうです」
「おります」 「わかりました」 |
| 1台詞カードの自分の台詞を教師の指さしによって読む |
| 2台詞カードの自分の台詞を教師の指さしなしで読む |
| 3台詞カードありで生徒の台詞後1秒あけて次の台詞を読む |
| 4台詞カードありで生徒の台詞後3秒あけて次の台詞を読む |
| 5台詞カードなしで行う |
| 台詞でのやりとりが可能になったら、実際に電話機を使って指導を行ないます。学校や施設などで取り組む場合は、できるだけ本物に近い内線電話などを利用します。この際、最初は表1の人名に相当する人に電話機のすぐそばにいてもらい、簡単に取り次げるようにします。そして、できるようになったら距離を徐々に離していき、最終的には別室にいても取り次げるようにしていきます。また、取り次ぐ対象(人名)も徐々にバリエーションを増やしていき、取り次ぐ人を複数待機してもらっておきます。さらに、かける人を変えたり、台詞の間に「Aさん元気ですか」のように指導した言葉以外のバリエーションも加えていくようにします。大学で行った事例では、障害のことや今回の指導についての情報はまったく知らない学生に「今から○○さんのお宅に電話してお母さんに取り次いでもらってください」とだけ教示して、電話をかけてもらい、生徒がどれくらい取り次げるか調べました。その結果、知らない人からの様々な会話形態においてもかなりの部分で対応可能であるという結果がでました。指導形態としては小集団で実施することも可能でしょう。そして、最終的には家族の協力を経て家庭でも取り次げるように移行していくことが必要です。 |
| ver.1 2001/02/05 |
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