しりとりの指導
岡嶋尚子・井上雅彦
1.はじめに
 役割交代や順番を守ること、ゲームの勝敗ルールを理解することは自閉症を持つ生徒にとって困難な課題です。しかしながら視覚的な手がかりをうまく使い、系統的にフェイディング・アウト(取り去る)ことにより指導していくことが可能です。ここでは「しりとり」を取り上げます。 
2.指導を導入する際の前提となる条件
  しりとりが可能になる前提条件として、ある程度の語彙数があること、本指導プログラムのように視覚的な手がかりを利用する場合は、ひらがなの読み書きが必要となります。
3.ステップ1
 目標 しりとりシートを使用し指導者と交代で語尾と同じ語頭の単語をあげることができる。
 手続き 単語の語尾と次に続く単語の語頭が同じものをあげることができるように、図のように指導者と交代で単語を1つ1つ紙に書きます。その際指導者は、何を語頭に用いるかわかりやすくするため語尾を○で囲みます。そしてその下に同じ○を書き、語尾音を対象児に記入させます。少し待っても対象児が続く単語を書けないようであれば指導者は音声でモデルを示し、それを対象児に記入させるようにします。うまく自発できた場合は十分に賞賛します。この中で「一度だした単語をいった場合」「語尾に「ん」がつく単語をいった場合」やりとりをストップします。そしてシートに書かれた単語をしめしながら例えば「こことここに同じのがあるからあかんな。」のように説明をします。「勝ち負けシート」に記入するようにします。一定回数終わったら数をかぞえて勝ち負けをフィードバックします。対象児が買った場合は十分にほめます。勝ち負けは徐々に自分でいえるように手がかりをへらしていきます。
 しりとりシート
勝ち敗けシートの例
4.ステップ2
目標 しりとりシートなしで2人で「しりとり」ができる(交互に単語を言うことができる)。
手続き しりとりシートを使って書きながら、「しりとり」ができるようになったら、紙に書くことをやめ、ことばでいいながら「しりとり」を行うようにします。指導者との交代がスムースにできるようにするため、単語をいう順番を指さしするなどの手がかりを用いるのもよいでしょう。
5.ステップ3
目標 複数(3人以上)でしりとりができる。
手続き 対象児を含め3人で「しりとり」を行います。円状に椅子を置き、「しりとり」に参加する人の座る場所を明確にします。また、3人以上では順番を守ることが困難な場合、順番を視覚的に示すため、単語を言う人がボールを持ち、言い終わったら次の人に手渡すというルールで行います。その場合、対象児がボールを見ているか確認しながら行わなければなりません。対象児がボールを持ったときに、後ろについている補助者がボールを投げたりしないように注意し、対象児が単語を言った後、次の人に手渡せるように補助を行います。対象児が、補助なしでボールを用い「しりとり」が行えるようになったら、ボールの代わりに指さししながら、「しりとり」を行います。指さししている人を見ており、順番が守れるようになれば、指さしを徐々に無くしていきます。
                            ver.1 2001/03/19
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